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2015年6月

2015年6月 4日 (木)

彼に尋ねたいこ

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6月9日の朝、朝礼に向かうTを廊下で後ろから呼び止めた。Tさん、と、初めて彼の名を口に
した。英語の得意な彼に尋ねたいことがあった。彼はきっと承諾してくれる。わたしは心のどこ
かでそう思っていた。何故かわからないが、確信があった。
「あの、今日は、日中、お忙しいですか? 」
 彼は振り返ると、わたしの顔を見て
「ぼく、今日は会議があるんです」
「あっ……」
 だめだという返事だ。わたしは言葉が詰まった。心のどこかで、彼は承諾してくれる、そう確信
していたからだ。何も言えなくなったわたしは、もう一度、彼の顔を見た。
「打ち合わせがあるんです」
「あっ、じゃあ、お昼休みもお忙しいですか?」
「…………」
 彼は何も云わない。わたしは遠慮してしまって、まともに彼の顔を見ることができなくなった。断
られているのだという状況は理解はできたが、諦めきれない。わたしは彼の顔を見ないようにし
て尋ねた。
「じゃあ、明日は?」
「…………」
 依然と返事が無い。
「あしたでもいいんですが……」
と言って、わたしは再び俯いた。すると、
「ああっ! 全然かまいませんよ! いつでもいいよ。何時でもOKです! 全然かまわない
です! 」
 彼が突然、承諾した。声が弾んでいる。嬉しそうに燥いでいる。その彼の声が、俯いていた
わたしの全身に鳴り響いた。身体の隅々、細胞の一つ一つに響き渡って、わたしは何だか嬉
しくなった。どうして彼が急に態度を変えたのか、腑に落ちなかった。何か用があるのだなと
気づいたから、彼がOKをくれたのだが、それが、このときのわたしには全くわからなかった。
理由はわからなかったが、とにかく嬉しくなって、何時が都合がいいか訊いた。「わたしの仕事
は、4時で終わり、午後は休憩時間が無いんです」というと、
「うーん、それだったら僕、どこかそこら辺にいると思うから、つかまえてください」
「はい! 」
「じゃあ」
( つかまえて……つかまえてください……なんていい響きなの)
 タマシイが心地いい、タマシイに響く、素敵な言葉。
(つかまえて、つかまえてください)
 わたしは、なんども何度も反復した。

お昼休み、B’zの英語の歌詞を書き写して彼のデスクへ向かった。ドアを開けると、彼が、「い
いよ! 」と、目で合図した。
「B’z? ああ、名前は知っているけど詳しくは知らないなあ」
 B’zの全編英語詩の曲の中に、わたしが大好きな曲がある。『SLAVE TO THE NIGHT』
という曲だ。わたしはこの曲を仕事中(車を運転中)によく口ずさんでいたが、この「SLAVE」の
意味がイマイチよくわからない。「奴隷」という意味のほかにだ。
「I’m a SLAVE TO THE NIGHTの、このSLAVEは,どういう意味なのかしら? 夜への
奴隷ってどういうこと? 」
 彼はものすごい速さで辞書を開いた。あっという間だ。それから彼自身の言葉で説明を始めた。

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